線と色の私
タイトル通り、主人公は「線」と「色」に分かれてしまった女の子なので、それを1色でどのように描くかが問題なのですが、「色」をトーンで表現することでその問題はクリアしています。このお話には2つに分離してしまう主人公以外に、主人公の友人が登場しますが、人物の描き分けが不十分なのでまっすぐに読み進むのが難しくなってしまいました。 序盤、小さなコマが1ページにギュッとつまり過ぎていて、読みにくくなってしまっているところがありましたが、ストーリーが動き出すにつれて、コマが大きくなり、読み進みやすいコマの運びに変化しています。かなりわかりにくい状況から始まるお話なだけに、絵的にも序盤がもっと読みやすくないと、読者はそこで読むのをやめてしまいそうです。 クライマックスシーンでの表現はとてもうまくいっています。現実ではありえない出来事をイメージとして表現するという、とても難しいことが出来ているのは素晴らしい。次回作もこの表現力が生きるような作品に挑戦してください。
主人公は分離することで2人になってしまいますが、分離することで2人になってしまいますが、この2人のうちの一方の「線」の方だけが言葉を話すことで、主人公を1人にできています。しかし、冒頭から登場する主人公の友人がいるせいで、結果的に主人公が誰なのか、読者にとってわかりにくくなってしまいました。この友人が主体で語られるモノローグがあるのも、わかりにくくなる原因の一つです。 絵と同様に、わかりにくさ・読みにくさがこの作品の一番の欠点なのです。明確なテーマがあるのですから、そのテーマを限られたページの中で読者に十分に伝わるように描くためには、余分な登場人物やシーンは取り除くべきです。